インターネットが流行をはじめた90年代後半、あるいはそれ以前から、デジタルテクノロジーにおいて私達の仕事や働き方はどう変わるか、多くの議論がなされてきた。しかしパソコン、スマートフォン、電子メール、ビデオ会議、人をダメにするクッションのようなツールがどれだけ発展し、普及しようとも、朝オフィスに出社し、夕方から深夜のうちに家に戻るというサイクルには概ね、なんの変化も与えなかった。
しかし新型コロナウィルスの流行がはじまって、早数ヶ月。多くの企業で唐突に在宅勤務が奨励された結果、皮肉にもこれまでどのようなテクロノジーもなし得なかったことが起きている。つまり、働きかたを見直すということである。本稿では、著者の経験を混じえながら、テレワーク時代の働きかた、特にそのマナー、いわゆるテレワーク・マナー(テレマナ)について考えたい。
筆者の知る限り、世の中では何割かの、一般的に想像するよりも多くの人達が、男女を問わず、自宅では全裸で生活している。私にはあまり理解できないが、とはいえもちろん、私はそのライフスタイルを尊重する。しかし、オンラインのビデオ会議では何が偶然に映ってしまうかわからない。
ビデオは常にオフにするという人も、顔以外は映さないという人も、万が一のリスクを考えれば、最低限でも就業時間中については服を着ることが奨励されるだろう。そのうち、全裸でも服が自動で投影されるというような、ビデオ会議向けソリューションも登場するのだろうが、未来に先行するVTuber業界では設定ミスで中の人が映るトラブルも発生している。どのようなテクノロジーがあっても、服を着るのが一番のリスク回避に繋がるだろう。
最低限の衣服を身につけていれば、急な宅配便の対応なども可能である。
在宅勤務の一番の悩みは酒の誘惑を断つこと、二番目の悩みは酒のアテの誘惑を断つことではないだろうか。
筆者はご存知のとおり、しばしカントと比較される非常に厳格な性格であるため、酒を飲むのは水曜日と土日のどちらかだけと決めているが、それほどの厳格さをもってしても、スナック菓子の誘惑に抗うのは難しい。在宅勤務中は昼ごはんや飲み物の買い出しのためコンビニに寄ることが多いため、ついついポテトチップ、煎餅、揚げもち、ミルフィーユなどを買ってしまうのが江戸しぐさの人情である。
しかし救世主となったのが、グラノーラである。栄養学については門外漢のため、スナック菓子とグラノーラの比較についてはここでは置くが、たぶん健康的だろうという気がする。なにより小腹がすいても、グラノーラなら罪悪感がない。
世の中にはいろいろなグラノーラがあるが、これまでのところ、日清シスコの「ごろっとグラノーラ」がとてもうまい。筆者の家には「3種のまるごと大豆」と「5種の彩り果実」が常にストックされて、その時々の気分で食べわけたり、両方食べたりしている。うますぎて毎日食べてしまうのが本末転倒である。
余談ではあるが「3種のまるごと大豆 糖質60%オフ」という商品もあり、これぞWin-Winと思ってさっそく買ったのだが、個人的には、正直に言えば、あんまり美味しくなかった。美味しさとは糖質なのかもしれない。
すこし真面目に、ためになるライフハックをひとつ共有しておくと、筆者は昨年、中年の危機を乗り越えるためにピアスを開けたのだが(より正確にはピアスの穴を開けるということである)、これはテレワーク時代になかなか役立っている。つまり、仕事がはじまった時は仕事用のピアスをして、仕事が終わったらピアスを外し、ピアスを外しているうちには仕事を一切しないということであり、ピアスをしているあいだどれだけ仕事をするかは個人の裁量による。
念のため、「ピアス あけかた」でググっていた一年前の筆者へ伝えるように読者に教授しておくと、ピアスは皮膚科であけられる(より正確にはピアスの穴を開けるということである)。ピアスはAmazonで買える。
中年男性が皮膚科へ行って「ピアスを開けたいのですが」(より正確にはピアスの穴を開けたいのですが)と言うのはなかなか勇気を要するが、それはそれ、相手もビジネスであるので「あなたの耳の形はすばらしい」とか「男性のピアスはとても魅力的なのだから誰もが検討すべきだし、いま思いきって当院に訪れたあなたは非常に賢明である」とか言ってもらえる。ぜひ検討されたい。
台風の日にコロッケを食べるという奇習が生まれる国なので、テレワークを機にピアスが流行しても良いのではないかと思うが、より冷静な人は一日中パジャマはやめて服を着替えるとか、指輪をするとかでも良い。根が真面目なので最後に真面目なことを言ってしまった。
いろいろ考えたがこれ以上は思い浮かばなかったので、残り96のマナーは各自の課題とします。
2020/07/29
この文章は小関悠が書いた。特に明記のない限り、私と関係がある、もしくは関係のない、組織や団体の意見を示すものではない。
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