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四百字刑事と背理法

犯行現場は古い元刑務所。改装され、今はホテルだ。独房が個室、重い鉄格子もそのままだ。こういう趣向が好きな人がいるんです、と第一発見者でオーナーの田上は他人事のように言う。被害者は三十代の男。格子の向こうで背中を刺されて死んでいる。私は四百字刑事。役場で斡旋された宿に泊まったら、突然起こされて今。密室なんです、と田上は言う。窓はありませんし、天井や壁や床や鉄格子は壊せません。マスターキーはなくしてしまいました。他に客は、と私。いません、閑散期なので他にスタッフもいませんし、冬は宿泊客以外、あたりに住民も旅行者もいないでしょう。私は頭をかいて、じゃあ君が犯人じゃないか、密室殺人の目撃者として泊まるよう役場に頼んだんだろう、と言う。すると田上は顔を真っ赤にして、まだ血のついたナイフで襲いかかってきた。柄にはロープを結びつけたままだ。私はひらりと避け、拳銃で撃ち殺す。片付けはジョバンニに任せよう。

 

2009/02/03 - 2009/02/05

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このページにある全ての記述は、特に明記のない限りフィクションです。また著者である小関悠が個人の立場で書いたもので、所属する組織などの立場や意見を示すものではありません。
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