S系統のバスは満員かもだ
ソフトキャップの二十六歳、
紐のかわりにリボンを巻いている
細長い襟
男は隣の男に腹を立てる
客が乗り降りなので?
こいつはコトだ!
乱暴に押されりゃ、
ファック野郎に文句はモチのロン
ただし高音でなく低音で
そうするうちに席は一杯
男は慌てて座るかもだ
二十日後、ローマのセイント=レザール広場
二人の男がボタンの話
片方を?
バスのローカル男かもだ
そして、もう一人が男に言う
「いつかボタンを押した方がいい」
そうしてプレゼントを続けるかもだ
2009/03/11 - 2009/04/17
この文章は小関悠が書いた。特に明記のない限り、この文章はフィクションであり、私と関係がある、もしくは関係のない、組織や団体の意見を示すものではない。
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文体練習フラグ
今になって思い出してみても、それは記録的に暑い一日だった。S系統のバスは長年の運行を経て、ついに最終日を迎えた。その日まで、S系統のバスは一つも事件を起こしていなかったのだ。考えてみれば、SはSacrificeのSだったのかもしれない。……