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面白いことが自動で起きない

個人的な例で恐縮なのだが、私は昔からサバゲーに興味があって、機会があれば一度参加してみたいと思っていた。もちろん、オープンなサバゲーの集まりみたいなのはあちこちにあって、そこに参加することも出来るのだろうが、なにせ人見知りだし、いきなり知らない人に撃たれるのも辛いので、知り合いが誘ってくれないかなあと、たぶんもう20年くらい考えていたのである。

 

サバゲーをやる知り合いはいて、楽しかったという話を聞いたり、Facebookで見かけたりすることはあった。そういうときは「次にやるときは呼んでよ」くらいのことは言った。ただ、知り合いも自分でサバゲーを企画するわけではなく、あるいはただ私に人徳がないのかもしれず、人からのお誘いというのは残念ながらなかった。

 

それである日、「あれ? このままだとサバゲーやらないまま死ぬのかも」と思った。いや、別にサバゲーをやらないまま死んでも最低最悪というわけではないのだろうが、やりたいなーと漠然と思ったままやらずに済んでしまいそうだなと気づいたのだ。

 

そういうわけで、知り合いに声をかけ、自分で場所を予約し、なにが必要なのか確認しては同じような初心者の仲間に伝え、サバゲー会をやるようになった。やってみると意外と人は集まるもので、まだ数回ではあるが、いまのところ定期的に続いている。

 

似たような話で、私は中学生のころからMagic; The Gatheringに興味があったのだが、当時は英語版しかなくて、いちおう買ったりしたものの、遊ぶ仲間がおらず、ほとんどカードを眺めるだけの日々であった。最近になって、改めてちゃんと遊んでみたいと思い、知り合いに声をかけたら、これまた案外と人が集まり、MTG会は定期的に開かれるようになった。

 

私はもう40歳なので、いまさらこんなことに気づいたとドヤるつもりはないのだが、あるいは40歳の中年だからこそ、このところ、面白いことが自動で起きない。残念なくらい起きないのである。これは非常に個人的な感想であり、きっと面白いことが自動で起きまくる同世代もいるのだろうが、私には起きない。

 

これが自己啓発本の書き出しであったなら、そういうわけで皆も能動的に生きなければいけない、誰かの誘いを待ち続けるには人生は短いのだ、という話になるのだが、怠惰な私はなぜわざわざ能動的に生きなければならないのだろうと、つい考えて、社会を責めたくなってしまう。

 

まあ、子供がいて仕事もあってそれなりには忙しい、読みたい本や見たいNetflixもたくさんあるので、暇で貧乏であった学生時代や新社会人のころほど、突拍子もない面白イベントが人生に発生しないというのは、仕方ないのかもしれない。大学生のころは、夜、風呂に入って日が変わる頃になって、カラオケに行こうぜという連絡が入り、三条烏丸まで自転車に出かけたりしたものだが、そういうイベントフラグはもうないし、あっても断ってしまうだろう。

 

また、毎晩のように外出できるわけではないからこそ、出かけるときは自分のやりたいことをしたいと思って、それが選り好みに繋がってしまうというのもある。飲み会のお誘い? 誰が来るの? 店は禁煙じゃない? じゃあパス。ゲーム会のお誘い? 誰が来るの? 人狼やるって? じゃあパス。そうやって断っているうちに、お誘い自体がなくなってしまう。

 

その上で思うのは、ソーシャルメディアを見ていると、いつもどこかで誰かがイベントをしていて、まるで自分もすぐそこに入れそうな雰囲気があり、そんな予感を楽しむことさえ出来るのだが、実際のところじっとしていても何も自動で起きない。

 

具体的に言えば、今度なにかやりましょう、どこか飲みに行きましょう、みたいな空約束が、今日ほど簡単にできる時代はないのではないかと思う。美味しいレストランがあるんですよ、今度行きましょうよ。○○さんと知り合ったんですよ、今度一緒に遊びましょうよ。などなど。

 

ソーシャルメディアに蔓延する、そうしたなにか起きそうな予感が、かえって自分を油断させて、なにも起きない人生を招いているのではないかとさえ思ってしまう。

 

中にはそういう約束フラグを後日ぜんぶ回収してくれる友人もいて、それは本当にありがたいので、自分もそうでなければならないなと思うのだが。

 

そういうわけで、面倒なのだけど、仕方がないのでやりたいことを自発的に企画してやってる。飲み会の機会があれば、自分の行きたい店に行きたいし、自分の会いたい人と会って、会いたくない人とは会いたくないので、自然と幹事ばかりやっている。面倒くさい。誰か自分の好みを完全に理解して欲しい。AIでもいい。でもいない。もうすぐ2020年だというのに、面白いことが自動で起きないのは困ったものではないでしょうか。

 

2019/09/11

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この文章は小関悠が書いた。特に明記のない限り、私と関係がある、もしくは関係のない、組織や団体の意見を示すものではない。

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