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銃とゲーム

 今日もまたゲーム機による傷害事件が起きた。同じゲームをプレイしていた中年男性同士が、勝敗をめぐって口論になり、負けたほうが勝ったほうにコントローラを投げつけたのだ。被害者は頭部に全治三日の怪我。昨日も都内のゲームショップで、携帯ゲーム機を持った中学生が別の中学生を襲う事件があったばかりである。

 

 ゲーム業界は、こうした事件の背景に銃の蔓延があると言う。銃という武器の存在が人を攻撃するという発想を生み出し、人の精神を暴力的に蝕むのだと。彼らは、今日の代表的な武器である銃というものに言及することを全面的に規制すれば、人が手近な物で殴りかかることはなくなると訴える。この論説を裏付けるように、とある大学の教授は、研究室の学生を対象に簡単な調査を行い、銃に一度でも触れた人間は攻撃的になるという分析結果を発表している。

 

 銃業界はもちろん、こうした批判にはなんの根拠もないと言う。銃は銃であり、人を撃つものであって、仮想世界であるゲームや、その操作に用いるコントローラによる事件にはなんの関係もないと。しかし実際のところ、ゲーム機による事件は続いている。そして銃は今も存在している。ここに因果関係がないことを、銃業界は早急に証明していかなければならない。

 

2012/12/27

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この文章は小関悠が個人の立場で書いたもので、所属する組織などの立場や意見を示すものではありません。特に明記のない限り、この作品はフィクションです。

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