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第二次キュレーション戦争

 キュレーションサイト問題により長年築いてきた情報の信頼性にケチのついたGoogleだったが、対策は早かった。年始に同社は前触れなく「ゴリラ・アップデート」を発表。構造化された・長文の・新しいウェブページを優遇するこれまでの方針を180度転換し、雑然とした・書き捨ての・古いウェブページを優遇することを宣言した。

 

 その影響は甚大だった。いわゆるキュレーションサイト、まとめサービスはもちろん、ブログサービス、クチコミサイト、ニュースサイトなど、丁寧なSEOを心掛けてきたウェブページは一律に検索結果から姿を消した。AMPは一切人の目に触れなくなり、RSSやmetaタグによるセマンティックな情報は軒並ペナルティを受けた。

 

 かわって浮上したのは、書いた本人も忘れているような個人ページ、プロパイダーさえ提供していることを忘れていたようなホームページサービスのページだった。古い個人サーバーのサイトがランキングで急浮上したせいでアクセスできなくなり、そのことがまた高評価の要因となった。

 

 ただ古ければ良いというわけではない。ゴリラ・アップデートの詳細は明らかにされなかったが、CGIによるカウンター、手動で更新される更新情報ページ、コメントBBS、BRタグだけで分割されてどこまでも続く日記ページなどが好評価の対象になると噂された。BLINKなどの今では使われなくなったタグや、旧版ブラウザで使われていたような非推奨タグ、タグの閉じ忘れが重要なポイントとなり、HTMLは手打ちでなければならなかった。

 

 もちろん、大手企業も黙ってはいなかった。今では忘れられたHTML手打ち職人を高給で採用し、そのノウハウをクラウドソーシングで伝えた。

 

 こうして毎日、何百何千という個人ホームページが生まれるようになった。とりとめのない日記や相互リンクが蔓延し、コメント欄ではバトンのやりとりが繰り返された。バナーを作っては交換し、本音はコメントアウトしたソースに書き込んだ。広告は旧来式のバナーに回帰し、1x1の透明ピクセルが埋め込まれていることが批判された。JavaScriptのライブラリに悩むことはなくなり、そのうち人々はなんのためにhpを更新しているのか忘れ、ただキリ番だけを求めてカウンターを回した。

 

2016/12/11

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この文章は小関悠が個人の立場で書いたもので、所属する組織などの立場や意見を示すものではありません。特に明記のない限り、この作品はフィクションです。

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