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山崎武司と日本経済に強い相関

(ノンフィクション)

(この文章は他のテキストと異なり内容はノンフィクションですが、他のテキストと同様に私が個人の立場で書いたものであり、所属する組織などの立場や意見を示すものではありません。理数系ジョークのつもりです)

 

先日、ネットサーフィンをしていたら"ドリカムの人気と株価の関係"という記事を見つけた。Dreams Come Trueのテレビタレントイメージ調査結果の推移と、TOPIXの推移に強い相関があった、という内容である。僕はDreams Come Trueに思い入れはないし、株もやらないので、へーなるほどねえ、そういう偶然もあるかもねえ、と思っていた。調査をしたのは大和総研で、もう少し詳しいレポートも公開されている。

 

それからしばらくたって昨日、スラッシュドット・ジャパンがこの調査を取り上げた。投稿されたコメントは概ね冷笑的なもので、これは果たして有意な調査なのか、というような意見が多く見られた。

 

もっとも、大和総研も実のところは別に有意な調査だとは主張していない。レポートでは「ドリカムの人気度と株価は連動する傾向があるということが明らかになった」「ドリカム人気だけで株価が決まる訳でないが、今年はドリカム人気の上昇に連動した株高を期待したい」と慎重に言葉を選んでいる。伝言ゲームのように調査結果が伝搬した結果「ドリカムが人気になると株が上がるらしいよ」と受け止めた人が多かったのかな、と思われる。

 

さて、そんなスラッシュドットのコメントの中に気になるものがあった。Dreams Come Trueに限らず「たくさんサンプルを持ってくれば中には「偶然、相関があるように見えるデータ」も出てくる」という指摘である。これは私の第一印象に近く、やはりそう考えるのが自然ではないかという思いを強くした。また別のコメントでは同じように偶然性を疑いながら、もう少し踏み込んで「株価と打率に有意な相関がある野球選手なんていうのも探せばごろごろいるに違いない」と指摘していた。

 

本当だろうか。試してみよう。

 

大和総研の調査では、タレントイメージ調査のタイミングと合わせて年2回、それを5年分、計11回をサンプルとしている。しかしプロ野球選手の打率についてはシーズン別に計算するのが妥当と考えられるため、同じ11回分ではあるが、年1回、1996年から2006年までのものをサンプルとした。調査の対象となるのは今季いずれかの球団に所属しているプロ野球選手だが、投手、および11年間で一度も打率がゼロ以外を記録していない野手は省いている。この結果、今年のルーキーや、一軍でヒットを記録したことのない選手を除く、258名がTOPIXとの比較に用いられることになった。プロ球団に所属していなかった、出場がなかった、などの理由でその年の打率の記録がない場合は便宜的に0としている。

 

他方、TOPIXの推移はWikipediaにあった。こちらも1996年から2006年までの11年分がサンプルとしている。年ごとの代表値については算出方法が記されていなかったため、荒っぽくその年の最高値と最低値の平均とした。

 

さて、結果であるが、これはタイトルに書いた通りである。ゴールデンイーグルスの山崎武司が全選手の中で最も高い、0.70という相関係数を示した。これは残念ながらDreams Come Trueとの相関係数0.79には及ばないが、有意性を示すp値は0.016になるため、まあ社会科学的には十分有意と言えるかなあ、という感じである。ちなみに、6/14現在の山崎の打率はこれまでの通算平均をぐっと上回る.296。山崎の打率に連動した株高を期待したい。以下に、山崎の打率とTOPIXの推移を示す。ぴったりと寄り添っているのが見てとれるだろう。

 

 

また、以下はTOPIXと相関の高い選手の十傑である。残念ながら0.1水準で有意と言えるのは山崎だけであり、孤軍奮闘が目立つ。

 

0.70 山崎武司

0.51 稲葉篤紀

0.50 鶴岡慎也

0.50 藤田一也

0.49 的場直樹

0.49 大松尚逸

0.48 亀井義行

0.48 十川孝富

0.47 塩川達也

0.47 新沼慎二

 

ところで、相関係数は正だけではなく、負の値もとる。つまり、景気が悪くなると成績が伸び、景気が良くなると成績が落ちる選手もいるはずである。果たして、最も負の相関のある選手は今岡誠で、相関係数は-0.74であった。p値は0.009であり、山崎との相関以上に有意である。なお気になる6/14現在の今岡の打率は.300で、昨季を大きく上回っている。以下に、今岡の打率とTOPIXの推移を示す。反発し合っているのは見てとれるだろう。1996年はまだ大学生であったため、0となっている。

 

 

また、以下はTOPIXと負の相関の高い選手である。これらの選手は全て0.1水準で有意に相関を示している。

 

-0.74 今岡誠

-0.74 野口祥順

-0.74 柴田博之

-0.63 松元ユウイチ

-0.63 谷佳知

-0.62 葛城育郎

-0.62 桧山進次郎

-0.62 前田忠節

-0.57 岡上和典

-0.55 英智

 

なぜ負の相関が大きい選手がこれほどいるかというと、TOPIXはWを描きながら推移しており、これに対してWを描きながら打率を推移させる野球選手(二度のスランプを乗り越えながら再び上昇している選手)よりも、Mを描きながら打率を推移させる野球選手(ピークのあとスランプに陥り、乗り越えるも再びスランプにある選手)の方が今の球界には多いということであろう。桧山とか、まさにそんな感じ。前述の通り出場のないシーズンの打率を0としたため、出場機会に恵まれない選手も多く含まれている。

 

それで何が言いたいかというと、統計って面白いなあ、ということです。ぜひ日本経済と相関の強い他の指標も探してみて下さい。

 

2007/06/14

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この文章は小関悠が個人の立場で書いたもので、所属する組織などの立場や意見を示すものではありません。特に明記のない限り、この作品はフィクションです。

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