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面接をハックする:下調べのこと

このまえの転職期間中、またいくつかの面接を受けて、いくつか思うことがあったので書きます。まずはリサーチ、下調べについて。

 

 

一般的に面接への準備というと、どういう服装を選べとか、どういう言葉遣いにしろとか、他愛のない話が多い。これは、日本において面接が就職面接のことであり、数多くの企業を受け、誰が出てくるのか分からない環境で、最大限のパフォーマンスを残すためにはどうすればいいか、という最大公約数的アプローチから逆算されたせいと感じる。

 

一方、転職の面接では、相手の企業について調べる時間がもう少しあるはずである(数ヶ月のあいだに何十社とやりとりしなければいけない新卒の就職活動が異常なのだが)。また、面接官の名前や肩書が事前に知らされることも多い。つまり下調べができるのである。

 

私はリサーチャーなので、下調べが大好きである。具体的にどうすればいいか、自分なりにまとめてみる。他にも良い方法があれば教えてください。

 

 

Glassdoor

先日リクルートに買収されたGlassdoorは、まさに転職の下調べのためにあるウェブサービスである。社員の肩書に応じた年収、会社の評判、面接で聞かれる質問などが、網羅的にまとまっている。

 

全ての情報を見るためには会員登録のあと、自分の情報も入力する必要がある。まあギブアンドテイクだと思ってやるしかない。

 

前提として、毎年とんでもない数の候補者をふるい落とす人気企業では、面接の方法はほぼ定型化されている。何人と会い、どんな質問があって、どういう点で評価されるかなどである。Glassdoorを眺めておけば、そうした定型が分かるようになる。

 

また、眺めていると、日本で同じように話題の外資系企業の中でも、社員の評判が良いところ、悪いところがあることに気づく。Glassdoorで評判の悪い企業を受けてはいけない、ということではないが、たとえば面接時にでも「~というような評判を見かけましたが実際はどうですか」などとぶつけてみることができる。

 

日本にも類似のサービスは存在するが、現状では残念ながら質量ともに不十分である。

 

 

IR

Glassdoorがあまりに便利なので先に書いてしまったが、本来的にまず見るべきは企業の財務情報をはじめとするIR資料であろう。上場企業なら公式ページにあるし、日本のベンチャーなら官報に載っているかもしれない。

 

正直、私はあまり数字を覚えるのが得意ではないのだが、それでも売上、利益、社員数、直近の推移などはメモするようにしている。何百万ドル、何千億円といった数字は感覚が掴みづらいので、社員あたりに換算して、一人あたり利益3000万円、社員1万人、みたいに覚えておくと楽である。

 

日本の上場企業の場合は、決算説明会資料など、わかりやすい形で会社の方針や今後の計画について書かれていることが多い。当たり障りのない採用ページを見る時間があれば、株主向けのIRページのほうを読んだほうがずっと価値があるし、これは新卒向けにも当てはまる。悲しいことだが。

 

 

プレスリリース

プレスリリースもいい情報源である。会社のウェブサイトを見るのが一般的だろうが、最近のベンチャーにはまともなウェブサイトのないところもあり、そんな場合でもPRwirePRTIMESにはちゃんとリリースも出していたりする。

 

 

Google News

IRは四半期ベースしかないので、直近の情報を知りたいということであれば、Google Newsで検索するのが便利だ。たとえば海外のテックベンチャーなら、新しいサービスをTechCrunchが報じていたりする。

 

 

Quora

同じように海外の企業について検索した時によく情報が見つかるのが、Quoraである。老舗のQ&Aサイトで、〇〇ってポジションを受けようと思ったんだけどどれくらいシニアなのとか、面接のあと返事がないんだけどとか、給料交渉ってできるのとか、みんなが気になることが書いてある。

 

 

Twitter

日本のベンチャーを受ける場合にお薦めするのは、Twitterを使うことである。面接を受ける企業ごとにリストを作り、公式アカウント(広報アカウント)、社長アカウント、社員アカウントなどを芋づる式にリストへ加えていくと良い。

 

会社名でGoogle検索→社員のインタビュー記事→社員名でGoogle検索→社員のTwitterアカウント、というような発掘の仕方が一般的だろうが、たとえば企業の公式アカウントが社員だけをフォローしていたりする場合などもある。

 

念のため書くが、こうして社員をフォローするのは、ただネットストーキングをするのではなく、どのような分野に関心を持っているのかを知るためである。

 

企業名や企業のサービス名がユニークである場合は、Twitter検索からその評判や、話題性を追うこともできる。私はあるネット企業について、Twitterでずーっと口コミをまとめており、整理・分類したらパワーポイントで10枚以上になってしまったことがある。

 

リストと検索を多用することから、クライアントはTweetdeckが最適である。

 

 

LinkedIn

面接の相手が分かっている場合は、単純に検索すればインタビュー記事などが出てくるかもしれないし、外資ならばほぼ確実にLinkedInのプロフィールが出てくる。そうすると今いる会社(=自分が受ける会社)だけでなく、前に所属していた会社が分かる。

 

たとえばネットメディア企業の営業部長と会うとして、代理店畑なのか、広告主サイドだったのか、マスメディア出身なのか……などが分かっておくと、面接時にも役に立つ。

 

 

私はこれまで本を出したり、仕事でインタビューに答えたり、個人で転職についてブログを書いたりしてきたので、面接する側になった時、「〇〇を読んで来ました」と候補者に言われることがあった。その中には受かった人もいるし、そうでなかった人もいるけれど、面接のために下準備をして「下準備をしてきたぞ」とアピールするのは、原則としてとても良いことだと思う。

 

それは、別に私の本や記事を読んでこいというのではなく(読まれてもお金になるわけではないし)、「俺はこの戦いのために準備をしてきた。お前はどうだ?」という、なんというか、バトル感が、面接にはもっとあっても良いのではないかと思うからである。それに、ちゃんと下調べをすれば、危ない企業にひっかかる可能性も減る。

 

 

冒頭に書いた通り、面接については幾つか書きたいトピックがあり、これから「能力を選ぶこと」と「物語を作ること」を書くつもりである。

 

2018/06/25 - 2018/08/01

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この文章は小関悠が書いた。特に明記のない限り、私と関係がある、もしくは関係のない、組織や団体の意見を示すものではない。

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